漢字で区別して表記しているため、全然別と思われている語が実は同じ語根から派生した単語家族の一員という事があります。
抽象的な事は漢字、身近な事はやまと言葉
現代日本語では、ヤマトコトバで抽象的な概念を表現する事が少く、それらは多く漢字で言われることである。もし、ヤマトコトバで抽象的概念を表現すると、それらは卑俗、卑小であるという観念を伴いやすい。
オクル(送・贈)とオクル(遅)
オクル(送)は「郵便で送る」とか、「小荷物を送る」というように使われますが、古くは「人のあとについて行く」という意味だったそうです。
オクルは、別れを惜しんで、後をついて行くという意味であり、人の死後、称号や官位を与える事もオクルであり、オクリモノというのは、何かの事が行われた後で人にものを届けるのが古い使い方でした。
オクレも同じ語源
実はオクレも同じ語源です。
このようにオクルは、意志的に人の後について行くのが原義であった。それに対してオクレの方は、自然の結果として、後からついて行くようになる意が原義である。
後からついて行く事は、先を越される事であり、オクレと言えば、後に残されることを意味するようになった。
「若くさかりの子におくれ」と言えば、子に先立たれる意であり、オクレ毛といえば、伸びのおそい毛であり、「おくれ馳せ」といえば、部隊の進みより後からかけつけることである。そこから、刻限にオクレるという用法が展開した。
二つのオクルは、第一アクセントの高さが共に高で同一であり、オクル(送・贈)とオクル(遅)は、ökuという同一の語根を持つ単語家族に属する二つの語です。
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