文春文庫から出た山本七平の『「常識」の落とし穴』という本があります。大きく4章に分かれており、今日は3章の『III 日本人の「神話」』の中から、「民族性とは変わらぬもの」という短文を紹介します。
秀吉の時代から日本人は変わっていない
これは豊臣秀吉が起こした慶長の役で捕虜になった韓国人、姜沆が書いた「看羊録」という書物を簡単に紹介したものです。物凄い秀才で、もし次に日本に攻め込まれることを想定して、日本の実情をできる限り正しく上奏し同時にその対抗策を示唆することを目的に書いたそうです。
その書物の中で挙げた日本人や日本の組織の特徴が、ほぼ現在の日本と同じで、民族性とは実に変わらないものだと、山本七平は驚いています。
韓国人から見た日本人の特徴
山本七平を驚かせた、当時の韓国人インテリから見た日本人の特徴は以下の4つです。
- 一芸一能に秀でた者を組織化する
- 便利で有効なものはすぐ導入し、たちまち習熟してしまうこと
- ところが、これは一面、抽象的思考や外来文化に弱い事で、中国の学生さえ権威にされたり、役に立たない珍奇な外国品を買い入れて喜ぶことになる
- 日本の将棋のように、取った駒は今までの敵でも使ってしまう。ところが韓国人は降伏しても敵は殺してしまう
姜沆は自身が秀才なので日本人の学習能力やそのレベルなどは全く認めていませんが、「実際に役立つもの」に対する日本人の学習意欲と能力の高さだけは唯一認めています。
この4つを見ると、2とか3は、ただちに納得してしまいました。
抽象語が少ない「やまと言葉」で動く日本人
日本人が抽象的思考と外来文化に弱いのは、理解はできても使いこなせない、本心から納得していない、なぜなら、やまと言葉で考えていないからだと僕は思います。
結局、日本人の価値は、「使えるか、使えないか」と「感情に訴えるか、そうでないか」が土台になっています。ワビ、サビといった超越的な概念を直感的に作り磨く事はできても、それを言葉で論理的に説明は出来ない、論理的とか抽象的な思考は、やまと言葉ではないので深く考えられない、苦手で遠ざけてしまう、というのが日本人の本質ではないでしょうか。
山本七平の著書に日本語に関する記述があったかどうか、記憶が定かではありません。どこかに記述がないか、これからは少し気を付けて読んでいきたいと思います。
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今日紹介した本です
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