自分の意志でやったのに、「~なりました」と言ってしまう事は有りませんか?
日本人独特の、「成り行き」という世界認識
「やりたい事が見つからない」、これは多くの日本人が感じている問題です。
自分が「何がしたいのか?」、答えを知らずに、日々流されて生きている、という感情です。
しかし、日常生活で、大小含めて「これがしたい」と言い切る場面はそんなに無いと思います。日本人は、自分の意志とは無関係に進む自然の成り行き、として世界を認識しているからです。
日本人には、「どうしたい?」より「どうなれば?」がしっくりくる質問
「日本人は~」とか「欧米では~」という類型化は、本や雑誌、テレビ番組などで本当に良く出てくるフレーズです。
「日本人とは?」や「日本人的とは?」といったテーマに興味があるのでその手の話は好きとはいえ、あまりにステレオタイプなものの言い方だとイヤになる事があります。
先日、ニューヨークでライフコーチをやっている関口梓さんの「ありのまま輝くエフォートレスな生き方」を読みました。
本の中でも、コーチングをした際の日米での反応の違いが書かれている個所が複数でてきます。やはり実際に体感された話は、魅力的です。
特に興味を引いたのは、日本人独特の「なる」という考え方です。
欧米で発展したライフコーチングでは、迷っている人へ「あなたは、どうしたいのですか?」とたずねるのが定石となっています。ただ、集団における調和を重んじる日本人は、「自分はどうしたいのか」を率直に表現するのが苦手な傾向にあります。
関口梓「ありのまま輝くエフォートレスな生き方」より引用
自分も含めて「どうしたい」とか「なにがしたい」いうのが良く分からない日本人が多い、というのは同感です。
そこで、関口さんがとった対応も載っています。
そこであるから、質問の角度を少し変えて、「あなたは、どうなったら嬉しいですか?」とたずねることにしました。
関口梓「ありのまま輝くエフォートレスな生き方」より引用
変えた事により、コーチングの流れが良い方向に動き始めたそうです。この「なる」は日本人独特の感覚です。
関口さんが言う「集団における調和を重んじる」は、それだけでなく、多くの日本人の根底に流れる「成り行き」の思想だと思います。それが、日本語にも表れます。
日本人は、そして当然日本語も、己を取り巻く周囲の世界を”外”のものととらえ、自分はただそれを受け止め眺めている主体に過ぎないと考える
(中略)
たとえば、自分の意志で引っ越すにもかかわらず、
このたび左記住所へ引っ越すこととなりました。
と「~となる」を用いて、いかにも成り行きで引っ越さねばならぬはめになったかのような言い方をとらせることともなり
森田良行「日本人の発想、日本語の表現」より引用
日本語を日常的に使っていれば、「己の意志」を表面に出さないので、急に「何がしたい?」と聞かれても言語化できないのだと思います。
今後、「自己中心の視点」の視点は変わる?
今日は、日本人独特の「なる」の考え方を紹介しました。
二重三重にも自分の意志を表面に出さないようにする日本語の特性は、この先変わっていくのでしょうか。「自分以外は全て自分とは無関係に進捗していく自然の成り行きとみる」日本人の根底にある「自己中心の視点」が変わっていけば、変わるのかもしれません。
とは言え、その時に、日本社会がどんな人間関係になっているのか、なかなかイメージできません。
「どうなったら嬉しいですか?」
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今日紹介した本です
ライフコーチングにおける日米の比較以外でも、エフォート(努力)について、取り上げてみたいと思っています
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